池田卓哉ブログ 風光日々新(ふうこうひびあらた)

素直な心で表現する場にしよう。そんな想いで始めたブログ。

薄味の幸せ

東北から上京してきた

血圧を気にしている友達は

お寿司にお醤油すらかけることなく食べていて

自分はなんとも不思議な気持ちに

なったのを覚えている。

 

でもそこには尊敬のような

気持ちもあったのも覚えている。

 

そんな彼も今では

すっかり東京の生活に染まって

仕事終わりには何かに取り憑かれたように

ポテチを貪っていて

スナック菓子の咀嚼音が聞こえる度に

もの言えぬモヤモヤが

私の中で渦巻いている。

 

亡くなってしまった親御さんも

血圧を気にされていて、

“ずっと我慢していた”と話していた。


「もっと食べたいもの

食べさせてあげればよかった」と

彼は言っていた。

 

彼がポテチを貪っている姿を見るたびに

彼の後悔が聞こえてくるようで

私は酷く悲しくなる。

 

きっと本当に美味しいから

食べているわけではないのだ。

 

今まで抑圧していたものに

抑えが効かなくなってしまったのだろう。

 

人には自分を保つために

感覚を麻痺させることが

必要な日もあるのかもしれない。

 

ただ刺激を求めれば求めるほどに

満たされなさは底なしになっていく。

 

人のことだと

見えるような気がするのだけれど...。

 

 

刺激の強いものばかりに

傾いていく日常が怖い。

 

贅沢なものも

たまにあるからの喜び。

 

ちゃんと薄味の幸せを

噛み締められる人でありたい。

 

人との関わりも 日常の生活も。

 

願い星

寒空の下

顔をあげて

星を見つめておりましたら

光がなんとも

ささやいているようで

 

星と言えばつい

願い事を思い浮かべるけれど

 

光の向こう側には

こちらに向けた何かの想いが

あるんじゃないかって

そんな気持ちになって

光の囁きに今日は耳を傾けました

 

ついつい頭で考えて思考は

別のところにいってしまうけれど

 

感覚を開いて

受け取るモードに切り替えると

何も持たずとも

豊かさに囲まれてることに気づく

 

星を眺めていたら

それだけで禅のような静けさが訪れて

ざわざわした

 

光をぼんやり眺めていると

やっぱり何かを語りかけられているようで

もっともっとと聞きたくなる

星と星とを結びたくなる気持ちが

体感としてわかった気がした

 

少し自分の中から欲が出て

ひらけ ひらけ ひらけ

感覚 開け 開け 開け

 

そう小声で呟いてる中

流れ星が流れました

 

流れ星に願い事なんて

無理だろうって思っていたけれど

思いがけず実現しちゃった寒い夜

ひとり気分が高揚する

 

満足して家を帰ろうと歩き出すが

ふと振り返り際にもまた流れ星

 

幸せを願わずとも

すでに幸せな気がした

 

やっぱり寒くなると

トイレが近くなるもので

 

帰り路

トイレ トイレ トイレ

そう呟いては

これは願い事じゃないよと

訂正してる自分がいて

ひとりおかしかった

グループ展 参加のお知らせ

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ただいまグループ展に参加しております。

 

「おとなの工芸祭2022」

-東京都立工芸高校デザイン科OB・ OG展示会-

テーマ「喜び・Smile」


※同時開催=純心写真展

 

【開催日時・会場】
会期=2022年10月11日(火)~10月16日(日)
時 間=11:00~19:00/最終日17:00終了
会 場=市ヶ谷・一口坂ギャラリイ


東京都千代田区九段南4-6-1
TEL.03-3261-4515
ホームページ http://hitokuchizaka.net

地下鉄都営新宿線・メトロ有楽町線南北線 市ヶ谷駅A3出口より徒歩3分。

 

今回は

音楽おしばい“おじゃま猫”の

イメージイラストの新作を出品いたしました。

理解

わかって欲しい。

 

そんな感情が絵を描く原動力だったことを

思い出した。

 

絵だったら本当のことを言える気がした。

 

絵でなら誰か本当の自分に

気づいてくれるんじゃないかって

誰か見つけてくれるんじゃないかって

10代の頃はそんな事を考えていた。

 

20代になって発表する場を頂くようになって

自分自身のことを

わかって欲しいという気持ちよりも

自分の作品を通して

誰かの心に寄り添える人になりたい

ってそんな事を考えてた。

 

自然現象や生き物の行動の様子などから

天気の変化を予測することを言う

“観天望気”(かんてんぼうき)という言葉を

今年の個展のタイトルにつけた訳だけれども

(人の感情と空模様が重なるような感覚から)

 

来てくださったお客様の一人から

「観天望気という言葉は

天の気を読むということでもあると思うけど

人の気を読むという意味では

今回の個展は観 人 望気ですね。」

なんてことを言って頂いて

自分が説明できたこと以上のことを

汲み取って理解してくださる方がいて

嬉しくも驚いたりもした。

 

理解してくれる人がいる時

自分という存在が許された

ような気持ちになる。

 

理解すること と

愛は繋がっているように思う。

 

だからこそ

人と分かり合えない時

価値観が違う時

相手が無関心な時

人は傷つくし

苦しみになるのだろう。

 

わかって欲しい。

理解したい。

 

そんな原動力から

最近踏み出した一歩がある。

 

人との関係を考えると

伝えなくて良いこともあるのでしょう。

白黒つけないから

続いていける関係もあるのでしょう。

 

わかってしまったからこそ

時にそれ以上先に進むことをやめる

という選択もあるのでしょう。

 

一度伝えてしまったのなら

伝える前には戻れない。

 

それでも自分自身が前に進むために

あるいは誰かのことを思って

伝えるということが必要な時があります。

 

人に理解を求める以上に

自分で自分のことを真っ直ぐに

みるということも

大事なのでしょうね。

 

 

今日はお風呂屋さんで

見かけた親子が背中を洗いっこしてた。

子は一生懸命に父の背中を洗ってた。

父はどんな思いで

子の背中を洗い流したのだろう。

 

理由は上手く言葉にならないし

何故だか分からないのだけど

気が付いたら

私の目からは涙が溢れてた。

続 心の御空

本当は個展が終わってすぐに

更新をしてお礼が言いたかったのですが、

 

書いては消してを繰り返しては

なかなか更新出来ないまま

時間が過ぎてしまいました。

 

ごめんなさい。

 

今月7月にありました、

「観天望気」の個展にいらして下さった方

気にかけてくださった方

本当にありがとうございました。

 

 

今日は今回の9回目の個展で

行き先が決まった作品を

お渡しに行きました。

 

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作品自体は8回目の個展

“心の御空”で発表した作品なのですが、

1年前に発表した作品を1年間

憶えていて下さっていた方がいて

今回行き先が決まりました。

 

その方は「月が好きなんだよ。」

と僕にお話をしてくれました。

 

お子さんが産まれて病院に行く時に観た月が

忘れられないくらいに

綺麗だったこと

だから子どもの名前にも

“月”が入っていることを

僕に話をしてくれました。

 

今回購入して下さった作品は

その”月“の漢字が入った

高校生のお子さんの

誕生日のプレゼントに

お渡ししてくださるそうです。

 

 

人ひとりひとりの思い出の中には

忘れたくないような尊い空があって

かけがえのない日々の色が

人の心や魂の輝きになっていく。

そんな想いから制作した

“心の御空”という作品です。

 

心の中に今も浮かぶ大切な空と

それにまつわる大事な思い出を持った人が

この“心の御空”という作品を

選んでくださったことは

とても感慨深いものがありました。

 

絵を描く活動を続けていて

良かったと思うことは、

その人が大事にしてる目に見えないことが

作品をきっかけに自分にも

共有してもらえることがあるということです。

 

 

つい先日

一緒にいるとホッとする

大切な友達といたら

気づいた頃には夜が明けていて

一緒に見上げた朝焼けが

最近の自分の“心の御空”でした。

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写真は2枚とも

その友達が撮ってくれました。

 

あの日の空を今も見上げることができて

「ああ頑張れるな。」

不思議と力が湧いてきます。

 

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これは4年くらい前に描いたイメージですが、

10回目の個展のキービジュアルになりそうな予感。友達が撮ってくれた写真とちょっと酷似している要素があって人生って面白いです。

 

個展のお知らせ (7/2-7/12)

 

普段から大変お世話になっている

六本木ストライプハウスギャラリーにて

9回目となる個展を開催いたします。

 

7/2-12  池田卓哉(平面)@3階ギャラリー
AM11:00-PM6:30 (最終日PM5:30まで)

日曜日休廊

ストライプハウスギャラリーHP

https://striped-house.com

 

暑い日が続きますが、

皆様どうか気をつけてお過ごしください。

内の声

部屋が静けさに包まれる時

隣にいる友の

心臓の音が聞こえてくることがある。

 

比喩でもなんでもなくて

はっきりとその音が聞こえることがある。

 

 

力強い音だなと

命の頼もしさを感じる時もあれば、

 

あまりにはっきり聞こえる音に

モノ言えぬ不安を感じることもある。

 

 

日常の中ではなかなか難しいけれど

自分の思考のスイッチを落としていって

意識を身体の感覚に寄せる時

その音は僕の中でも確かに鳴っている。

 

それは聴覚ではなくて

鼓動として伝わってくる。

 

胸の部位もそうだが

手のひら 耳の裏

特に手を当てなくても

そのリズムは感じ取れる。

 

 

お世話になっている人の

老いを感じる時

 

親しい友の病気を想う時

 

「どうか死なないで。」と

自分の内側からの

強い声にハッとする。

 

 

またね。と別れた友と

また会いたいと強く望む時

 

ああ。この感情は

自分の中の「死にたくない。」

なのだと気付かされた。